2024/07/18
AI予測の不確実性表現するガウス過程回帰
●ガウス過程回帰とは
ガウス過程回帰は、機械学習の手法の1つで、データに基づいて、AIを用いた未知のデータを予測するための手法で、予測値の不確かさを表現できます。
これにより、企業の様々な意思決定をする際に、確率的にどれくらいのブレがあるかを認識することができます。
例えば、過去の売上データを基に、将来の売上を予測する場合に使われます。
単に1つの予測値を示すだけでなく、その予測に対する「不確実性」も示します。具体的には、「予測される売上はこの値の周りでこれくらいの幅でばらつく可能性がある」と示します。
●一般的な機械学習との相違
一般的な予測は、線形回帰や多項式回帰など、決まった形の数式を使ってデータを予測します。
これらのモデルは、データに最もよく合う1本の直線や曲線を見つけることに焦点を当てます。
また、ランダムフォレスト回帰は、多くの決定木の結果を平均することで予測を行います。その結果、1つの予測値で確定的に示されますが、不確実性の情報は提供されません。
一方、ガウス過程回帰は、決まった形の数式を使いません。その代わりに、データのすべての可能性を考慮し、どのように予測が分布するかを示します。
具体的には、過去のデータポイント間の「相関関係」を使って、新しいデータポイントの予測を行います。この予測は、平均値だけでなく、その不確実性も含みます。
●時系列分析との相違
時系列分析は、データの時間的な順序に基づいて予測を行います。
過去のデータパターンを学習し、時間軸に沿った予測を行うため、時間の流れが重要です。
時間的な順序やパターン(トレンド、季節性、周期性)を重視し、規則的な変動を捉えるのに適しており、過去のデータからトレンドや季節性を抽出し、そのパターンを基に予測を行います。
ガウス過程回帰は、データポイント同士の相関関係を使って予測を行います。このため、時間軸に沿った規則性がなくても、データの相関を捉えることができますので、複雑なパターンを持つデータの予測に適し、突発的な変動を捉えるのに有効です。
●まとめ
このようにガウス過程回帰は一般的な回帰モデルとは異なり、データの柔軟な扱いや不確実性の評価に優れたAI(機械学習)の手法であり、特に「予測が外れた場合、どの程度外れそうか、その不確実性を見たい場合」や「予測値の分布を見たい場合」などに有効といえます。
多くの企業が意思決定を行う際に、ガウス過程回帰は出力された予測がどの程度、不確実性があるかを提供できますので、より効果的なで精度の高い意思決定に活用できます。
また、ガウス過程回帰は主に回帰問題に使用されますが、その特性から自然言語処理AI技術にも応用できます。
●このサービスが解決する課題
・予測値が分布の形で分かるので、不確実性を考慮に入れた意思決定ができる。
・想定外の事象が発生しても、それによるリスクを最小化できる。
・経営戦略が柔軟に立案でき、企業価値向上に役立つ。